壁の穴あけや切断、研磨で粉じんが出る時は、国家検定に合格した防じんマスクを使うのが基本です。厚生労働省の対策シート(R100「呼吸用保護具の選び方と使い方」)では、ガーゼマスクや不織布マスクでは、産業現場で扱う物質のばく露を十分に防げないため、国家検定品か、JIS規格に適合した製品を使うよう案内されています。
ただし、このシートは職場向けの資料です。家庭のDIYは作業の量も内容も違うため、この記事では、シートに書かれている選び方と使い方の考え方を、DIYの目安として紹介します。個別の作業の安全は、工具や材料の取扱説明書、SDS(安全データシート)で確認してください。
(確認元:厚生労働省 対策シートR100「呼吸用保護具の選び方と使い方」。確認日:2026年10月6日)
先に考えること:マスクは「最後の砦」
対策シートでは、呼吸用保護具は物質の体内取り込みの「最後の砦」であり、使うと息苦しいなどの負担がかかるため、最初からマスクで防げばよいと考えるべきではないとされています。先に、作業環境を改善することが大切です。DIYで置き換えると、次のとおりです(一般的な置き換えです)。
- 屋内でやるなら、窓を開けて換気する。粉じんの出る作業は、屋外でできないか考える
- 集じん機やビニールシートを使って、粉じんが広がらないようにする
- 粉じんの出る作業の時間を、できるだけ短くする
防じんマスクの種類
粒子状の物質(粉じん)には、防じんマスクを使います。対策シートの説明は次のとおりです。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 取替え式(記号R) | 面体とろ過材が分かれていて、ろ過材を交換する |
| 使い捨て式(記号D) | マスク全体がろ過材。使用限度時間を確認して使う。限度以内でも、息苦しくなったり、変形したら交換する |
粉じんの捕集効率には3段階があります。
| 固体粒子用(S) | 液体粒子用(L) | 捕集効率 |
|---|---|---|
| RS1/DS1 | RL1/DL1 | 80.0%以上 |
| RS2/DS2 | RL2/DL2 | 95.0%以上 |
| RS3/DS3 | RL3/DL3 | 99.9%以上 |
シートでは、有害性の高い物質によるばく露を防ぐ時は、捕集効率の高いろ過材を使うとされています。切削油などのオイルミストがある場所では、L(液体粒子)の表示があるろ過材を使います。DIYの粉じん(木材、石膏ボードなど)の作業で、どの区分を選ぶかは、使うマスクの説明書と、材料のSDSで確認してください。
顔に合わせる(密着性)
対策シートは、顔の大きさは人によって違うため、顔とマスクの密着性がよい(漏れが少ない)ものを選ぶことが必要としています。確認の方法は次のとおりです。
- 取替え式:ろ過材を手(またはフィットチェッカー)で覆って息を吸い、面体が吸い付くようになるか確認する(陰圧法)。ならない場合は、つけ直してもう一度。再び失敗したら、別の大きさの面体に変える
- 使い捨て式:両手でマスク全体を覆い、息を吐き出して、面体が膨らむことを確認する(陽圧法)。陰圧法に比べて分かりにくい
- ひげがある場合は、半面形のマスクでは密着性が悪く、機能が低下する
- 眼鏡や保護帽などと併用する時は、それらがマスクと顔の密着を妨げないか確認する
交換と手入れ
- 取替え式のろ過材は、息苦しくなった時、変形・穴などの破損や著しい汚れ・湿りがある時、捕集効率が著しく低下した時に、新しいものと交換する
- 使い捨て式は、原則として1回の使用で廃棄する(作業内容によっては1日使って廃棄)
- 汚れは、乾いた布または軽く湿らせた布で、キズをつけないように拭き取る。しめ紐や面体が傷んだり硬くなったりしたら交換する
- ゴム製の面体は、寿命が短くならないように、直射日光の当たる場所に置かない
- ろ過材を捨てる時は、粉じんが再び飛び散らないように、密閉して廃棄する
保護めがねも一緒に
NITEの電動工具の事故例では、電動ドリルの刃が折れて顔に当たった例があり、取扱説明書の「保護メガネ、保護マスクを使用して下さい」に従っていなかったとされています(電動工具の安全な使い方)。粉じんが出る作業では、目を守る保護めがねも一緒に使います。マスクと併用する時は、密着性を妨げないか確認します。
DIYの作業との関係
壁の下地を探したり、棚の位置を決めてから穴をあける作業は壁の下地の探し方、壁に棚を取り付ける方法で説明しています。位置決めに墨出し器を使う場合は墨出し器の選び方、パイプで棚を作る場合はパイプとジョイントで作る棚・ラックのDIYが参考になります。
アスベスト(石綿)が使われている可能性がある古い建物の解体や、化学物質を使う作業は、この記事の範囲を超えます。専門の業者や、自治体の窓口に相談してください(一般的な注意)。
まとめ
- 粉じんが出る作業は、国家検定の防じんマスクを使う。ガーゼや不織布のマスクでは、職場の物質のばく露を十分に防げないとされる
- 捕集効率は3段階(80%・95%・99.9%)。顔に合うものを選び、陰圧法・陽圧法で密着を確認する
- 換気や粉じんの飛散防止が先で、マスクは最後の砦。保護めがねも併用する


